甑島民家調査
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①武家屋敷(麓) 
上甑の里地区、中甑地区、下甑の手打地区に在する「麓(武家の居留地/以下写真)」の街並みが、教育庁管轄の「日本遺産」として登録されました。これによって文化財として半永久的に保存されることが確実になったわけで、今後の不動産売買や改修の手続きが極めて困難になったことから、これらは開発地域から除外します。
武家屋敷の多くは居住中

買収困難・改修困難・職人不足・資材搬入困難 



②上甑 里地区の街並み 
上甑ではこの里地区がもっとも人口が多く、街としての規模も大きい。江戸時代から昭和中期までは大陸貿易の中継点として栄え、人口も10000人を越えるほどであった。平野は狭く山が海に迫っており、その分、小さな家屋が密集し道路も狭い。またこの地は空襲を受けてないため家屋は古く、現存する多くが明治から昭和中期に建てられたものである。1軒当たりの住まいは15~20坪で、敷地も30坪程度のものが多い。
現時点で空き家は多いが、家屋が古いため外装内装とも手を入れると崩れてしまうようで、改築は難しい。上下水道は最近敷設されてはいるが、多くの家屋は接続しておらず殆どが旧式便所のままである。よってオープンな不動産売買の事例はなく、知り合いに少額貸与したり空き家のままにして空気の入れ換えを頼んでいる例が多い。
里地域の一般家屋は居住中が50%

売却可能・改修困難・職人不足・資材搬入困難 



③中甑一般民家 
上甑で第2の街並みが中甑地区。ここは港を中心にして市庁舎もあったが集落としては小さい。里地区よりさらに土地は狭く、台風による被害に遭うことも多い。現存する家屋の多くが昭和中期までに建てられたもので、1軒当たりの住まいは15坪ほどと狭い。空き家は多いが、家屋が古いため外装内装とも手を入れると崩れてしまうようで、改築は難しい。
下は居住家屋、空き家は廃墟が多い

売却可能・改修困難・職人不足・資材搬入困難 



④下甑一般民家 
下甑には鹿島、長浜、手打と3つの地区がある。鹿島は細長い地域の中央に甑大橋の取付道路が走るが、人口は流出していて集落は消滅したも同然である。
長浜は本土側の串木野と連絡するフェリー港があるが、古くから漁港として生計を立てていた。土地は「狭いというよりない」というほどの集落で、昭和中期までに建てられた小さな古屋が軒を並べている。
下甑の最南端に位置するのが手打地区で、ここは武家屋敷が並ぶ「麓」として街並みも整備され、廃墟も少なく、上下水道も普及している。昭和後期には1000軒の民家があり商店街もあったが、この30年で空き家率は50%を越えるほど過疎化が進んでいる。
下は居住家屋で改修済み

居住家屋で内装改修済み

下は居住家屋で改修なし

下は空き家で売却OK



集落内の土地買収であれば「50000円/坪が相場」で、集落外なら半値くらいに値切れる。しかし、買い取っても改修が難題である。道路がないし下水道の接続もなし、改修してくれる職人はいないし改修に必要な資材も島にはなく、結局は本土の業者を頼って古屋解体し、本土から職人を宿泊させて新築することになる。その場合の予算は消費税を含まず以下のとおりで、経費部分が極めて大きくなる。
土地(道路拡幅+駐車場含む)50坪=250万円
古屋人力解体処分(本土廃棄)15坪= 75万円
ログハウス新築40m2×35万円=1400万円
防錆防塩塗装75m2×1万円= 75万円
作業員旅費宿泊費(3人×100日)=300万円
機材輸送費(100日車両+フェリー)=200万円
外構植生費用(地業・植木・フェンス)=200万円
什器備品(電化・ベッド・寝具・調理)=150万円
バーベキュー設備(屋根付10m2)=100万円
設計・確認申請および登記費用=100万円
諸経費(防災+保安+現場管理)=150万円
ログハウス1棟以上合計(税別)   3000万円
 


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